井上さん、実際今のお店に配属されてどうですか?
井上さん: 苦労している事は、先輩スタイリストさんのタイミングをつかむ事ですね。アシスタントをしていても、何が必要なのかとか最初は見てても全然わからなくて。ホント最近になってやっと、何となくですけど、目の動きとか見てたら少しはわかるようになってきました。難しいです。慣れない事も多くて、失敗もいろいろ。一番慌てたのがシャンプーブースでの“噴水事件”。シャンプー中に手がすべってシャワーを落としてしまって、お客様がいらっしゃるのに噴水状態に。とても優しい方だったので、笑って許していただけましたが、あの時はもうどうしていいか慌てましたし、かなり落ち込みました。
逆にうれしかった事は、シャンプーを任せてもらえるようになって1ヶ月たったぐらいかな、最初なかなかどのお客様にも何も言ってもらえなかったんですけどはじめて「気持ちいい」って言ってもらえたんです。お客様の気持ちよさそうな顔を見れた時、本当にうれしかったです。
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お話は戻りますが、サロンワークから距離を置かれてまでスタッフさんの教育に力をお入れになる事に対して、どのようなお考えが?
永井さん: 持久力や忍耐力に繋がるワインディングはともかく、他はコンテストの後も続けてレッスンに力を入れていくって事がないのが一般的。でも伸びるよう“繋げて”あげないと力になっていかない。当たり前に同じ事を繰り返したり疑問に思いながらもそのまま続けるっていうのは業界全体の悪いところ。簡単な方に流れちゃうから辞める子も多いし、一度技術を身につけたらそれに頼って技術を磨かない人も多いです。磨くっていう職人ならではって事があるわけですから。それは変えないといけない。
磨くとは?考える事。レッスンする事。
どんな一流のスポーツ選手だって必ずトレーナーがいてるでしょ。「いつもより頭が下がってるよ」とか言ってくれる人がいる。TOPを維持する肉体を作ってくれ人がいる。
じゃ、美容師のプロは?
美容師はある程度できるようになったら人の意見を聞かなくなって、スタイリストになるとアドバイスしてくれる人も減りますしね。残念ながら磨くっていう事をあまりやらなくなる人が多い。
自分はそこを変えられたら面白いと思う。うちの店では、いろいろと形を変えているところです。まぁ、そのひとつが10月からのレッスンのシステム変更ですね。
この21年間は僕の美容師歴の全部です。みんなお洒落な店に行きたがるけど、僕は自分がお洒落な店を作りたい。独立より、僕は自分の求める形に店を変えていきたいと思い今までやってきました。時間はかかるけど楽しいですよ。スタイルを作るのも大切やけど、自分は人生や周りの環境を作れる力がないと意味がないと思ってます。場所を選ぶのではなく、場所をつくれる、まわりの人に店自体に、影響を与えられるようでありたいと思ってます。お蔭様で僕はこの店で21年いろいろなものを見せてもらって、経験させてもらって、そのための力を、環境を、与えてもらったので満足してます。自分はこれがいい。
井上さんもこれからがかなり楽しみなのでは?
井上さん: 今まであまり接する機会がなかったからとにかく永井さんの技術を見たい。これで見える、教えてもらえるって思ったら楽しみです。
最後に永井さん、これからのHIKARISさんの目指す形についてお聞かせ下さい。
永井さん: 時代にあった形で食っていける範囲やけど、儲ける事だけじゃなく、今いるスタッフと一緒にしっかりやっていきたい。こういう時代やからなかなか難しい事は多いと思う。多分これからの5年、10年を生き残っていけた美容師だけが本当の美容師の幸せみたいなものを掴めるんやと思って頑張っていくつもりです。10年後ってすごく変わってると思いますよ。サロンも美容師もすごく減りますよ。でもその時からまた新しい形に業界全体が生まれ変われるんじゃないでしょうか。
僕自身は上と下をつなぐ存在として、それぞれの持ってるポテンシャルをサロンの中で活かしていけるように、プロデュースしていきたいですね。スタッフそれぞれの“楽しい、楽しくない”を聞いてあげたい。全体をみる事でレッスン以外、人間関係も見ていって抱えているものを聞いて、バランスをとっていければいいですね。HIKARISの最後までを全部やるのがこれからの僕の仕事です。

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